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【第2回】【実施スケジュール完全ガイド】休日・平日の段階的移行はいつから?

※本記事は令和7年5月公表の「最終とりまとめ」に基づいて記載しています。今後公表される新ガイドライン等(令和7年12月公表予定)により運用が見直される可能性があります。

📌 この記事でわかること

  • 部活動の地域展開(学校の部活動を広く地域に開き、地域全体で支えながら地域のクラブ活動へ移行する取り組み)の令和8〜13年度(2026〜2031年度)における前期・後期の実施スケジュール
  • 休日の地域展開が先行する理由と令和13年度(2031年度)までの流れ
  • 平日の地域展開が自治体ごとに異なる柔軟な対応となる背景
  • わが子の学校の進捗状況を確認する具体的な方法
「部活動の地域展開って、結局いつから始まるの?」「うちの学校はどうなるの?」――第1回で部活動の地域展開の基本を理解した方から、こうした疑問の声が多く寄せられています。

結論からお伝えすると、部活動の地域展開は令和8年度(2026年度)から令和13年度(2031年度)までの6年間で段階的に進められます(出典:スポーツ庁「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議 最終とりまとめ」令和7年5月公表)。この「改革実行期間」(部活動の地域展開を集中的に推進する期間)は前期と後期に分かれており、休日と平日で進め方が異なります。また、地域によってスケジュールにも違いがあるため、お住まいの自治体の方針を確認することが大切です。

この記事では、6年間のロードマップから、休日・平日それぞれの進め方、そしてご自身の地域の状況を確認する方法まで、実施スケジュールの全体像をわかりやすく解説します。見通しが立てば、今から準備を始めることができます。

部活動の地域展開はいつ始まる?6年間の2段階ロードマップを解説

部活動の地域展開は、令和8年度(2026年度)から始まる「改革実行期間」において、前期と後期の2段階で進められます(出典:スポーツ庁「最終とりまとめ」令和7年5月公表)。6年間という期間が設けられたのは、各地域が十分な準備を行いながら、混乱なく移行を進めるためです。

📅 改革実行期間(令和8〜13年度)

  • 前期: 令和8〜10年度(2026〜2028年度)【3年間】
  • 後期: 令和11〜13年度(2029〜2031年度)【3年間】

前期(令和8〜10年度)に何が行われる?体制構築と試行の3年間

前期の3年間は、地域展開の「基盤づくり」と「試行」の期間として位置づけられています。

この期間に進められるのは、自治体による推進計画の策定、地域クラブ(地域で運営されるスポーツ・文化活動の団体)や受け皿団体の整備、指導者の確保・研修体制の構築など。モデル校やモデル地域での先行実施を通じて、課題の洗い出しと改善が行われる予定です。

ここで重要なのは、すべての学校が一斉に変わるわけではないという点でしょう。前期の間に、現時点で着手していない自治体も含めて休日の地域展開に取り組み始めることが求められていますが、地域の実情に応じた段階的な移行が基本となります。

💡 保護者・生徒の皆さんへ

この前期の期間中に、お住まいの自治体や学校からの情報発信に注目し、説明会などに参加して理解を深めておくことをお勧めします。

後期(令和11〜13年度)はどう変わる?本格実施への3年間

後期の3年間は、前期で構築した体制を基盤として「本格実施」を進める期間です。

この期間には、休日の地域展開を原則全校で実施することを目指します。前期で明らかになった課題への対応を進めながら、持続可能な運営体制の確立を図る方針です。

令和13年度(2031年度)は改革実行期間の区切りとなりますが、これで「完了」というわけではありません。地域展開の定着と継続的な改善は、その後も続くことが想定されています。なお、平日の部活動については、前期(令和8〜10年度)に活動の在り方や課題への対応策を検証し、中間評価の段階でその後の取組方針を定めるとされています(出典:スポーツ庁「最終とりまとめ」令和7年5月公表)。改革実行期間終了後の具体的なスケジュールは、現時点の最終とりまとめでは明示されていません。

📝 中間評価とは?

前期終了後には中間評価が行われ、進捗状況の確認と後期に向けた取組方針の見直しが行われます。

休日の部活動はいつから地域展開?令和13年度までの流れとは

部活動の地域展開において、まず進められるのが休日の活動です。令和13年度(2031年度)までに、原則としてすべての公立中学校等※で休日の地域展開を実現することが目標として掲げられています(出典:スポーツ庁「最終とりまとめ」令和7年5月公表)。

※正式には、公立中学校(義務教育学校後期課程や中等教育学校前期課程を含む)および特別支援学校中学部が主な対象となります。

なぜ休日から先にスタートするのか?3つの理由を解説

休日の地域展開が先行する理由は、主に3つあります。

第一に、教員の休日出勤・時間外勤務の削減が緊急の課題であること。休日の部活動指導は、教員にとって私生活との両立を難しくする大きな負担となっています。

第二に、休日は学校の授業や行事との調整が比較的容易であるという点も挙げられます。平日に比べて、時間割や学校行事との兼ね合いを気にせず活動を組み立てることができるでしょう。

第三に、地域クラブや指導者にとっても、休日は活動しやすい時間帯であることです。平日の放課後に比べて、まとまった活動時間を確保しやすいというメリットがあります。

✅ ポイント

休日から始めることで、地域での受け入れ体制を段階的に整え、スムーズな移行につなげることができます。

休日の地域展開で何が変わる?変わること・変わらないこと

休日の地域展開によって「変わること」を整理しておきましょう。

【変わること】

  • 活動場所: 学校の施設だけでなく地域の体育館や文化施設なども
  • 指導者: 顧問教員に代わって地域の指導者が中心に
  • 運営主体: 学校から地域クラブ・団体へ
  • 費用負担: 会費制となる可能性

【変わらないこと】

  • 子どもがスポーツ・文化活動を続けられること
  • 仲間と一緒に活動できること
  • 大会やコンクールへの参加機会があること

💡 保護者の方へ

変化を恐れるのではなく、正しく理解することで適切な準備ができます。

平日の部活動はどうなる?自治体ごとに異なる3つの対応パターン

結論として、平日の部活動については、休日のような一律の期限は設定されていません。自治体によって「休日のみ地域展開」「平日・休日とも地域展開」「当面は学校部活動を継続」など、対応が分かれることになります。

その理由は、平日の地域展開には休日以上に複雑な調整が必要となるためでしょう。学校の授業や行事との調整、放課後という限られた時間帯での指導者確保、生徒の下校時間や活動場所への移動の問題など、解決すべき課題が多くあります。

そのため、国の方針としては「地域の実情に応じた柔軟な対応」が示されています(出典:スポーツ庁「最終とりまとめ」令和7年5月公表)。前期において活動のあり方や課題への対応策等の検証を行い、中間評価の段階であらためて取組方針を定め、さらなる改革を推進していくこととされています。

📋 平日の地域展開 3つの対応パターン

  • パターン1: 休日のみ地域展開、平日は学校部活動を継続
  • パターン2: 平日・休日とも地域展開(一括移行)
  • パターン3: 段階的に平日も地域展開へ移行

⚠️ 重要

お住まいの地域がどのような方針を取るかは、自治体の計画を確認することが大切です。

平日・休日を一括移行した静岡市の事例とは?メリットと課題を解説

平日と休日を分けずに一括で地域クラブへ移行するという選択をした自治体もあります。その代表例が静岡市です。

静岡市教育委員会の発表によれば、静岡市は当初、2026年度夏ごろから休日の活動を先行して地域クラブへ転換し、その後2030年度から平日・休日とも地域クラブ活動を全市展開する段階的な計画を示していました。しかし、平日と休日で指導者が異なることによる混乱や、トラブル発生時の責任の所在が不明確になるといった課題が指摘されました。

これを受けて静岡市は方針を変更し、令和9年度(2027年度)9月から平日・休日ともに「地域クラブ」へ一括転換する計画を発表しています(出典:静岡市教育委員会)。

✅ 一括移行のメリット

  • 生徒・保護者にとってわかりやすい
  • 指導の一貫性が保たれる
  • 責任の所在が明確

⚠️ 一括移行の課題

  • 受け皿となる地域クラブの整備が前提
  • 自治体・学校の準備負担が大きい
  • 短期間での移行にはリスクも

すべての自治体が同じ方法を取るわけではありませんが、静岡市のような先行事例は、今後の各地域の検討において参考になるでしょう。

わが子の学校はいつから?今すぐ確認できる3つの情報源

「結局、うちの学校はどうなるの?」という疑問への答えは、お住まいの地域・学校によって異なります。地域によってスケジュールは異なりますので、以下の3つの情報源を活用して確認してください。

自治体・教育委員会の公式発表はどこで確認できる?

最も信頼できる情報源は、自治体・教育委員会の公式発表です。

  • 市区町村のホームページ、特に教育委員会のページを確認
  • 「部活動地域移行」「部活動改革」「地域クラブ活動」などで検索
  • 推進計画や実施方針が公開されている場合がある
  • 都道府県レベルの方針も参考に

📝 まだ公開されていない自治体も

まだ公開されていない自治体も多いですが、その場合は次の方法で情報を得ることができます。

学校からの情報はいつ届く?見逃さないための3つのポイント

学校からの直接的な情報提供にも注目しましょう。

  • 保護者向け説明会や懇談会
  • 学校だより・学年だより
  • PTA総会や保護者会での説明
  • 新入生向けの入学説明会

💡 アドバイス

  • わからないことがあれば、学校に直接問い合わせることも有効
  • 情報がまだ出ていない場合は「検討中」の可能性も
  • 焦らず継続的に情報収集を続けていきましょう

まとめ

部活動の地域展開は、令和8〜13年度(2026〜2031年度)の6年間で2段階に進みます。

  • 前期(令和8〜10年度): 体制構築と試行の3年間。基盤づくりを進め、中間評価へ
  • 後期(令和11〜13年度): 本格実施の3年間。休日の地域展開を原則全校で実現
  • 休日の地域展開: 令和13年度(2031年度)までに原則全校実施を目指す
  • 平日の地域展開: 自治体ごとに柔軟対応。中間評価後に取組方針を見直し
  • 確認方法: 自治体・教育委員会の公式発表、学校からの通知をチェック

スケジュールの全体像がわかれば、今から準備を始めることができます。次回は「地域クラブ活動が直面する4大課題と国・自治体の対応方針」を詳しく解説します。

参考文献

部活動の地域展開について、もっと知りたい方へ
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