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【第21回】部活動地域展開で子どもの活動はなくなる?選択肢と継続の仕組みを解説

📖 この記事でわかること

  • ✔ 令和8年度(2026年度)からの地域展開で子どもの活動が継続できる仕組み
  • ✔ 学校部活動・認定地域クラブ活動・民間クラブの違いと選び方
  • ✔ わが子に合った活動先を見つけるための具体的なチェックポイント
  • ✔ 「やりたい種目がない」場合に広がる新しい選択肢
部活動の地域展開について、「うちの子の部活動は、これからどうなるの?」と不安を抱えている保護者の方は少なくありません。

令和8年度(2026年度)から取組が加速するこの改革について、「部活動がなくなってしまう」「活動の選択肢が減るのでは」といった誤解が生じやすい状況があります。ただし国は活動機会の確保・充実を目的としており、形を変えて継続できる場合があります。地域によっては、選択肢が広がる可能性もあります。

この記事を読めば、地域展開後の3つの選択肢と、わが子に合った活動先を見つけるポイントが分かります。変化を正しく理解すれば、適切に対応しやすくなるでしょう。一緒に確認していきましょう。
※「地域展開」とは、生徒の活動を学校部活動から地域クラブ活動に展開しつつ、学校施設の活用等を通じて学校とも連携する取り組みのことです。
※国の資料では、地域クラブへ「展開」する取組に加え、学校部活動を基盤に外部人材の活用や合同部活動などで支える「地域連携」という進め方も整理されています。自治体によっては、地域展開と地域連携を組み合わせて進めます。

「部活動がなくなる」は本当?地域展開の正しい理解とは?

「地域展開=部活動廃止」という誤解が生じやすい背景には、制度の複雑さや情報の断片的な伝わり方があります。ただし、学校と地域の連携を前提に進める方針です(運用は自治体で異なります)。地域全体で子どもたちのスポーツ・文化芸術活動を支えていくという理念のもと、学校との連携を維持しながら活動の場を広げていくのが、この改革の核になります。

なぜ地域展開=廃止ではないのか?

令和7年(2025年)5月の最終とりまとめを受け、従来の「地域移行」という名称は「地域展開」に変更されました(出典:スポーツ庁「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議 最終とりまとめ」)。この名称変更には重要な意味があります。

📝 名称変更の意味
「移行」から「展開」へ ― 学校と地域が連携する柔軟な考え方
従来の名称
地域移行
令和7年5月〜
地域展開
▲ 改革の理念や地域クラブ活動のあり方等をより的確に表すため、学校と地域が連携しながら活動の場を広げるという柔軟な考え方を示す「展開」という名称に変わりました。

具体的には、学校施設の活用は方針として位置づけられており、利用方法は自治体の制度設計により異なります。指導を希望する教員は、兼職兼業の手続きを経て地域クラブで活動することも可能です。「完全に学校から切り離される」のではなく、学校が関わり続ける形を目指しています(関わり方は地域により異なります)。

令和7年12月(2025年12月)に策定された新ガイドラインでも、「学校部活動が担ってきた教育的意義を継承・発展させつつ、地域全体で支えることによって新たな価値を創出する」という理念が整理されています(出典:文部科学省「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」)。

令和8〜13年度の移行スケジュールはどう進む?

部活動地域展開の「改革実行期間」は、令和8年度(2026年度)から令和13年度(2031年度)までの6年間です。この期間は前期と後期の2段階に分かれています。

📅 改革実行期間(6年間)のスケジュール
前期
令和8〜10年度
体制整備の集中期間
地域クラブの試行的運営
指導者・財源確保の基盤づくり
後期
令和11〜13年度
運営の安定化と質の向上
前期の課題解決
中間評価を踏まえた改革推進
▲ 「ある日突然すべてが変わる」のではなく、段階的に移行していきます。まずは休日の活動を中心に地域展開等の取組が進むことが想定されています。

前期(令和8〜10年度) は体制整備の集中期間です。地域クラブの試行的運営が始まり、指導者確保や財源確保などの基盤づくりが進められます。現時点で着手していない自治体も、前期に休日の取組を進めることが重要とされています。

後期(令和11〜13年度) は運営の安定化と質の向上を図る段階と位置づけられています。前期で見えてきた課題を解決しながら、中間評価を踏まえてさらなる改革を推進します。

重要なのは、「ある日突然すべてが変わる」のではなく、段階的に移行していくということ。まずは休日の活動を中心に地域展開等の取組が進むことが想定され、平日は地域の実情に応じた柔軟な対応が想定されています。

お住まいの地域の進捗状況を知りたい場合は、教育委員会や学校に問い合わせることで確認できます。自治体によって進み具合は異なりますので、早めに情報収集しておくと状況を把握しやすくなります。

※中山間地域や離島など特殊な事情により地域展開が困難な場合には、国によるきめ細かなサポートや、当面は部活動指導員の配置等による対応も想定されています。
※取組の進み方や運用(費用・施設利用・移動・大会参加等)は自治体や競技団体の規程により異なります。

地域展開後の活動選択肢にはどんなものがある?

地域展開後は、「1つの選択肢しかない」のではなく、複数の選択肢から子どもと家庭に合った形を選べるようになることが想定されます(※学校部活動については、地域と連携して支える形=「地域連携」を組み合わせる場合もあります)。ここでは主な3つの選択肢について、それぞれの特徴を整理します。

🎯 地域展開後の3つの選択肢
それぞれの特徴を理解して、わが子に合った形を選びましょう
選択肢①
学校部活動
• 平日は継続の可能性あり
• 地域連携で支える形も
• 教員の関わり方は見直し中
• 学校ごとに方針が異なる
選択肢②
認定地域クラブ活動
• 市区町村等が認定
• 公的支援の対象となる可能性
• 大会参加要件が整理される
• 安全管理基準あり
選択肢③
民間クラブ・習い事
• 専門性の高い指導
• 自分のペースで継続可能
• 大会参加は要確認
• 費用負担は比較的大きい

選択肢① 学校部活動として継続できる?

平日の活動については、地域の実情に応じて進め方が分かれます。学校部活動として続く場合もあれば、地域クラブ中心に移る場合もあるでしょう。

補足:学校部活動を「地域と連携して支える(地域連携)」という進め方もある

地域によっては、すべてを地域クラブへ移すのではなく、学校部活動を基盤にしながら、外部指導者(部活動指導員等)の活用、複数校での合同部活動、地域人材との協働などで活動機会を確保する形をとる場合があります。
このように「地域展開」だけでなく「地域連携」も組み合わせることで、地域の実情(指導者確保、移動負担、種目数など)に応じた形になりやすい点がポイントです。

ただし、教員の働き方改革の観点から、学校部活動の位置づけや運営が見直される方向性があります。休日の指導への関わり方は、希望や手続(兼職兼業等)により整理されます。

保護者としては、「現時点でうちの学校はどうなるのか」を学校に確認しておくことをおすすめします。学校ごとに方針が異なる可能性があるため、早めの情報収集が大切です。

選択肢② 認定地域クラブ活動とは?どんなメリットがある?

令和7年12月(2025年12月)の新ガイドラインで、「認定地域クラブ活動」の枠組みが示されました。これは、国の要件等を踏まえ、(主に)市区町村等が認定を行う仕組みです。

※「認定地域クラブ活動」とは、国の要件に基づき(主に)市区町村等が認定した地域クラブのことです。

認定を受けた地域クラブには、自治体の制度設計により、公的支援の対象となる可能性があります(財政支援、学校施設の優先利用・使用料減免など)。また、大会・コンクール等の参加要件が整理されることで、参加しやすくなる可能性があります(各団体の規程見直し等が進むことが想定されている)。

認定の審査基準には、安全管理体制や適切な活動時間、手頃な参加費などが含まれており、保護者にとっても判断材料の一つになります。

運営主体としては、総合型地域スポーツクラブ、NPO法人、スポーツ少年団、民間事業者など多様な団体が想定されています。認定クラブの情報は教育委員会や学校から案内されることがあるため、発信内容に注目しておきましょう。

※認定の効果は自治体や大会規程によって異なります。詳細はお住まいの自治体にご確認ください。

選択肢③ 民間クラブや習い事を活用するメリットと注意点は?

スイミングスクール、ダンススタジオ、音楽教室など、従来からある民間サービスも選択肢の一つです。これらは地域展開とは別の枠組みですが、子どもの活動機会として有効な選択肢となります。

注意点として、大会参加は「可否」だけでなく、登録・要件・競技別規程等に左右されるため、事前確認が必要です。競技志向で大会出場を目指すお子さんの場合は、主催団体や学校・教育委員会等で確認しておくと安心です。

一方で、民間クラブならではのメリットも存在します。専門性の高い指導を受けられること、自分のペースで続けられることなどが挙げられるでしょう。「競技を極めたい」「趣味として楽しみたい」など、子どもの志向に合わせて選択することが大切です。

わが子に合った活動先を見つけるには?3つの視点で解説

選択肢があることは分かったものの、「結局どう選べばいいの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。子どもの希望を尊重しつつ、家庭の状況も踏まえて判断するための視点をご紹介します。

活動頻度・費用・送迎負担のバランスはどう考える?

活動先を比較検討する際は、「活動頻度」「費用」「送迎負担」の3つの要素で整理するのがおすすめです。

⚖️ 3つの選択肢を比較
活動頻度・費用・送迎負担のバランスで整理
項目 学校部活動 認定地域クラブ 民間クラブ
費用 比較的低い 運営形態により異なる 比較的高い傾向
送迎 校内のため不要 場所により必要 必要な場合が多い
種目 学校にある部活動に限定 選択肢が広がる可能性 専門的な指導
大会参加 従来通り 要件整理が進む 要確認
▲ どの選択肢が「正解」かは、家庭ごとに異なります。子どもの希望と家庭の状況を照らし合わせて判断しましょう。

学校部活動は、校内活動のため送迎不要・費用も比較的低いのがメリットです。ただし、選べる種目は学校にある部活動に限定されます。

認定地域クラブ活動は、選択肢が広がる可能性がある反面、活動場所によっては送迎が必要になることも。費用についても、運営形態によって異なります。

民間クラブは専門的な指導を受けられますが、費用負担が大きくなる傾向があります。

どの選択肢が「正解」かは、家庭ごとに異なります。子どもの希望と家庭の状況を照らし合わせて、バランスの取れた選択をしましょう。費用面の詳細については、第20回「費用負担の実態と軽減策」もあわせてご覧ください。

「やりたい種目がない」場合はどうすればいい?

少子化や地域事情により、希望する種目のクラブが地元にないというケースも考えられます。そんなときに知っておきたいのが、国(スポーツ庁等)が重視する考え方として、地域で取り入れられることがある新しい活動形態です。

💡 「やりたい種目がない」ときの新しい選択肢
🏃‍♂️
マルチスポーツ・複数種目体験
特定の種目に絞らず、複数のスポーツを体験。子どもの成長段階に応じた多様な運動経験を重視する考え方です。
🤝
広域連携
近隣自治体と連携した地域クラブに参加。市区町村をまたいだ活動が可能になるケースもあります。
▲ 学校部活動とは異なる形が選択肢になる可能性があることも、覚えておいてください。

一つは「マルチスポーツ」や「複数種目体験」という考え方です。特定の種目に絞らず、複数のスポーツを体験できる活動に取り組む地域が出てきています。これは、子どもの成長段階に応じた多様な運動経験を重視する考え方に基づきます。

もう一つは「広域連携」です。近隣自治体と連携した地域クラブに参加できる場合があり、市区町村をまたいだ活動が可能になるケースもあります。居住地にとらわれず、希望する種目に挑戦できる環境は、今後広がる可能性があります。

学校部活動とは異なる形が選択肢になる可能性があることも、覚えておいてください。

✅ まとめ

この記事のポイントを整理します。

  • 地域展開は「部活動がなくなる」ことと同義ではなく、「選択肢が変わる」改革です。学校との連携を前提に、地域全体で子どもたちの活動機会を支えていく方向性が示されています(運用は自治体により異なります)。
  • 学校部活動、認定地域クラブ、民間クラブなど、複数の選択肢から子どもと家庭に合った形を選べる可能性があります。それぞれにメリットと注意点があるため、比較検討することが大切です。
  • 活動頻度・費用・送迎負担のバランスを考慮し、子どもの希望を尊重しながら選択しましょう。「やりたい種目がない」場合も、マルチスポーツや広域連携など、地域で新しい形が生まれる可能性があります。

まずは学校や教育委員会から発信される情報をキャッチし、子どもと一緒に話し合ってみてください。変化を正しく理解して備えることが大切です。

次回予告: 第22回では「進路・大会参加・高校入試への影響」を詳しく解説します。地域クラブ活動が内申点に不利にならないのか、大会には出られるのかといった疑問にお答えします。

📚 参考文献

文部科学省「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」(令和7年12月)
スポーツ庁「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議 最終とりまとめ」(令和7年5月)
スポーツ庁「部活動改革ポータルサイト」

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